初めて会う母親の様子とタカシの表情は…
中学校教師30年の経験から事例を紹介します。仕事熱心な教師の、心の整理の一助になればと…。ここに徐々に掲載していきます。ご自身の悩みに似た事例があれば、参考にしていただければ幸いです(・。・;。
初めて会う母親
ここまでのいきさつ → https://kokoronoseiribako.com/kyomi1/
玄関ホールの階段から母親が降りてきました。
ちょっと驚きました。
というのは、重い精神障害と聞いていたので、あっさり出てくるとは思っていなかったのです。
タカシ本人に会える機会を得て良かったとばかり、思っていました。
母親が階段を降りる足取りはしっかりしていて、階段の最下段あたりに腰を下ろしました。
「いつもお世話になってます」という意味の言葉を、ゆっくりと発しました。
焦点は遠く、タカシ本人も立ち会った状態で、書類を渡しました。
母親は、どんな内容に対しても同じ言葉「ハイ~、どうも~」と、返事をしていました。
学校でのタカシの様子を伝えました。うっすら笑顔を浮かべていました。
ぬぐえない違和感
母親の病は重いということだったので、長居無用です。
なので早々に訪問を終えましたが、違和感をぬぐうことができませんでした。
階段を降りる足取りはリズミカルにスタートし、急にゆっくりしたこと。
長年暮らしている家と違って、絶縁状態だった親戚の家に仮住まいなのに、
座る場所の段差幅を確認しないまま、
手すりにもつかまらず腰を降ろしたこと。
そして対面時、言葉で表すと「ぼぁ~っとした感じ」としか言いようがないのですが、
目の焦点、表情、声を発するタイミングに違和感を覚えたのです。
気のせいと言われればその範囲に入ってしまいそうですが…。
母親を見るタカシの表情
また、何より気になったのが、母親を見るタカシの表情です。
学校で一度も見たことのない表情。
じっと見ているというか、観察している?
学校で見るタカシは明るい感じなのですが、母親を見るタカシの表情は違う。
精神障害を持つという母親を思い遣るという感じでもない。
正直、なにか嫌な感じを受けました。
訪問の終わり際、これでタカシと会うのは最後かもしれないと思ったので、励ましの言葉を言い、握手しました。
そのときは、いつもの明るいタカシの笑顔でした。
(実際、最後になってしまいました。転居準備で忙しく、なおさら体調を崩したと連絡があり…。)
満足気な笑み?
後日、タカシ父親と、転校に関する最終確認をしました。
「お世話になりました」的な言葉がありました。
私は、タカシくんと学校での思い出を作れて良かったと言いました。
身体が丈夫になったら(発熱しないように)なったらいいのにと、ふってみました。
父親は「そりゃそうですよね」みたいに頷いていました。
そして、父親自身に対しても、学校に協力してもらったことへのお礼を言いました。
(あの、文句つけ電話も、学校や地域のためを思っての要望という体(てい)だったので。)
それに対して父親は、堂々とした態度で満足気(?)に笑みを浮かべていました。
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上記内容は仮名であり、内容を一部改変しています。