大関フジ大関フジ

中学校教師30年間の経験から事例を紹介します。仕事熱心な教師の、心の整理の一助になればと…。このブログに徐々に掲載していきます。ご自身の悩みに似た事例があれば、参考にしていただければ幸いです(・。・;。

私は誰の先生なんだっけ?

ここまでのいきさつ → https://kokoronoseiribako.com/bucho-naritasugi1

これまで、生徒指導上の問題については、十分な情報収集から解決のヒントを得て、様々なトラブルを解決してきた自負があったのに。こんなはずじゃぁ…。
これは、何か、根本的なところから改めなければならない。
一日寝込んで、夜を越し、そして朝方。ふと浮かんだ言葉は「私は誰の先生なんだっけ?」でした。

「この保護者をなんとかせねば」そういう思いからの情報収集努力でした。でも、自分が関わるべき対象は生徒。成長を促しより良い変容をさせたいのは生徒!
もう一度、カナコと面談しよう。そう思いました。 

これまでのカナコ

そもそも、カナコは友人関係に常に不安があり、それ故に疑心暗鬼に捕らわれやすく、先回りした考えに走りがちです。結果、イタい行動につながり、周囲がドン引きすることも何度かありました。これまで顧問はカナコ本人を励ましつつ、周囲にはカナコの思いを伝え、仲立ち的役割をずっと担ってきました。

この「部長なりたすぎ件」勃発以前に、カナコから部長になりたいという思いを聞いてはいました。カナコは部長希望の理由を「部活に貢献したいから」と訴えていました。が、SNSへの投稿慣れしていて文章表現は達者なカナコです。それらしい言葉を連ねて語っていましたが、真意を測りかねていました。

カナコと再度面談してみると…

カナコと再度、面談することにしました。
雨天のため体育館で練習することになり、部員の様子を見届けやすいギャラリーでじっくり話すことができました。まず、部活を盛り上げようと一生懸命に活動していることについて、本人の(並外れた)行動力に感心してる旨を伝えました。実際、行動力自体はものすごいものでしたから。そこまで部活動のためを思える熱い気持ちについて、詳しく聞いてみたいと続けました。

カナコは、「自分だったら、こういうふうに部活を導ける。」という部活活性化の論を語り始めました。正直、どこかで聞いたことのあるネタばかりです。
(「ひとみ」引き抜き運動についての聞き取りや指導は別のタイミングにて)
話しながら、目線は眼下で練習している美穂に向けられていました。その表情から、「美穂に負けたくない」という思いが感じられ、「美穂さんが気になるの?」と問いかけたところ、カナコは突如泣き出してしまいました。

カナコの本当の思いとは…

カナコは、幼少時からのライバルだった美穂に対して、負けたくない強い思いがあったことを語り出しました。部内試合でも、形勢不利になると足を踏み鳴らして感情が出まくりのカナコを何度か見たことがあります。

そして、仲間として温かい言葉をかけてくれる美穂に、内心は頼っていつつも、「本当に自分を仲間と思ってくれているのか」という不安を抱いていることも窺えました。美穂はカナコの態度にあきれている面がありつつも、面倒見の良いところもありますから。

話が進むにつれ、美穂に負けたくない気持ちよりも、美穂に好かれたい気持ちの方が大きいことが見えてきました。
カナコの思いに触れるにつれ、これまでとは違う流れが感じられます。
まずはカナコの心の整理が必要と思い、さらに面談を続けることにしました。

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上記内容は仮名であり、内容を一部改変しています。