大関フジ大関フジ

中学校教師30年間の経験から事例を紹介します。仕事熱心な教師の、心の整理の一助になればと…。このブログに徐々に掲載していきます。ご自身の悩みに似た事例があれば、参考にしていただければ幸いです(・。・;。

面談を続けていたら…

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カナコの思いに触れるにつれ、これまでとは違う流れが感じられます。
まずはカナコの心の整理が必要と思い、さらに面談を続けることにしました。

体育館フロアでは部活動練習が続けられています。そして、現在の部長の練習メニュー指示に対して、後輩部員がふくれっ面をしているのが目に入りました。しばらく様子を見ていたら、ただ単に靴紐がほどけて集合の流れに乗り遅れただけで、ふくれっ面に見えた表情も、自分の都合で遅れたことに対するバツの悪さだとわかりました。

現部長は、態度が悪いように見えた後輩の表情に気づきつつも、短気を起こさずに対応できていて、靴紐事情を理解してからは笑顔を見せていました。
そのちょっとした一部始終を見ていたカナコは、ため息をつきました。

部長の役割の実際

対人関係について、常に不安を抱えているカナコです。多くの部員を束ね、個々に対してゆとりをもって対処するなど、そもそもハードルが高すぎることでしょう。

顧問は、続きの面談で、部長として皆に貢献したいというカナコの熱意、美穂に対する複雑な気持ちに共感を示しました。そして、部員をまとめる役割の実際について、一緒に考えていきましょうと提案しました。

カナコの表情に変化が…

カナコは、話し相手のちょっとした表情変化に不安を抱えがちな自分であることを、理解しています。自分に向けられる視線を怖がる傾向があることも。
部長を務めるにあたり想定される場面を挙げ、それにどう対処するかを考えさせました。カナコの返答内容が現実味の乏しいものであっても、否定せずに受け止めました。

部員の一見不満げに見える表情にも、めげずに対応する必要に迫られる、カナコにとっては重い役割である部長。
苦手なことに敢えて挑戦することも意味のあることだけど、負担が大きすぎたり犠牲になったりとなれば、心配であると伝え、面談を終えました。
カナコは、きちんと礼を言い、これまでとは違う表情を見せて練習メニューに合流しました。

PTA役員会後の雑談

この日の夜、PTA役員会定例会が開催され、カナコの母親も出席しています。会議終了後、廊下を通るカナコの母親と他保護者の会話が聞こえてきました。「本人のやる気が大切」だとか、「やっぱり立候補する人に役割を任せるべき」だとかのワードが聞こえてきます。

顧問は、「やはり」とか「またか」とか思いつつも、体調不良を起こしたほどの自分の負担が小さくなっている気がしました。
いよいよ明日、次期部長を決めるための部内ミーティングを行う日です。

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上記内容は仮名であり、内容を一部改変しています。