荒れた学校時代からの、生徒側の心遣い

中学校教師30年の経験から事例を紹介します。仕事熱心な教師の、心の整理の一助になればと…。ここに徐々に掲載していきます。ご自身の悩みに似た事例があれば、参考にしていただければ幸いです(・。・;。
昨年まで荒れていた学校
ここまでのいきさつ → https://kokoronoseiribako.com/dose1/
私は、筆箱紛失について、「私には相談しづらかったかな?」と、聞いてみました。
タツヤは、「ああ、それは…」と言って、ちょっとバツが悪そうに笑いました。
そして、ちゃんと説明してくれました。
先に、背景を述べます。当該校は去年まで荒れていました。
タバコ、ケンカ、器物破損、万引きなど、要指導事案の対応に追われていました。
私自身、目をつりあげて叱ったり、タバコ禁止指導のための張り込みや、破損、ケンカの現場に走って行ったりなどの日々でした。
生徒からも、大変そうに見えたと思います。
私の担当学年は上級生らに比べれば、かなり落ち着いていましたが、それでも対応すべき問題がたくさんありました。
だって大変でしょ
タツヤは、その中にあって、問題を起こすこともなく、落ち着いて生活していました。
タツヤには2学年上の姉がいます。
その姉から、「先生方は、この荒れた学校に転任してきて大変なんだから、少々の問題をいちいち先生に言わないほうがいい」と言われた、というのです。
タツヤ姉との面識はありませんが、そういえば、姉を担任していた先生から、頼りがいのある生徒だったと聞いたことがあります。
「だって(先生の仕事って)大変でしょ」と言ったタツヤの顔は、とても大人びて見えました。
姉に言われて従ったというより、本人の心遣いが表れているように見えました。
なんて「先生孝行」なんだ
親孝行という言葉がありますが、なんて先生孝行なんだと驚きました。かなり。
たしかに、より緊急性の高い対応を優先せざるを得ない仕事ではあります。
全ての子供の全ての側面を把握し、どんなに事件が起こっても全てに最善の対応をするというのは、ハナからムリな話です。
どうしても優先順位がついてしまう。
でも、手のかからない子を丸投げしようとは思わないし、それぞれの成長に目を向けたり、成果を共に喜んだりを心掛けたものでした。
ただ、私の努力はさておき、結果的には、荒れた学校じゃなかったら、しなくても良かった気遣いや、負担をかけた生徒もいたのだろうなと、認識を改めました。
悩み事を大人に言う言わないの判断を、子供本人の基準に任せるのは、やはり問題があります。
そして、ふざけ合う男子らの元へ
ですが、ここは、素直に感謝を表明しようと思いました。
タツヤに礼を言い、生徒の力になれたら私も嬉しいので、今後困ったことがあったら相談してほしいと言いました。
言い終えるかどうかのタイミングで、ちょうど通りかかったタツヤの仲間が、タツヤの頭をポンとはたきました。
「何話してんだよぉ」みたいな感じ。
廊下で教師と話し込むなど、他生徒から注目されがちです(荒れていた頃は、なおさらそうでした)。
ですが、タツヤはそれをサラっと受け流し、「じゃ、そういうことで」と言い、仲間の元へ走って行きました。→ 「廊下は走らない」(読みとばし可)(工事中)
どうせ先生方って○○なんでしょ?! その9/10へ → https://kokoronoseiribako.com/dose9/
上記内容は仮名であり、内容を一部改変しています。