学校側の観察眼なんて当てにならない

大関フジ大関フジ

中学校教師30年の経験から事例を紹介します。仕事熱心な教師の、心の整理の一助になればと…。ここに徐々に掲載していきます。ご自身の悩みに似た事例があれば、参考にしていただければ幸いです(・。・;。

「学校では異常なし」を信じてもらえない

ここまでのいきさつ → https://kokoronoseiribako.com/dose1/

その日の夕方、今日の観察の様子を報告するべく、タツヤ母親へ電話しました。

正直、全く異常が感じられなかったことを伝えましたが、母親は、こちらの観察眼を信用していない様子です。

息子に知られないように連絡をとるということで、携帯電話に電話を入れていました。

私と電話をしていることを家族に気づかれないようにしているので、家人から声がかかって不自然な返事をする状況が、ままありました。

そのため、(母親本人的には、納得できる段階ではないらしいけれども、)とりあえず、引き続き観察を続けるということで、電話を終えることになりました。

事態解明の糸口がほしいのに…

明日以降も、タツヤに異常はない、筆箱は出てこない、母親からの不信感を持たれたままという、出口がない状態が続いていくのは、どうにも気が重くなる話です。

でも、事実、紛失している件があるわけだし、タツヤが「担任教師には言いたくない」と発したことも、気になります。

落ち着いてタツヤと話せる機会を持ち、母親からの情報の一部でもいいから、事態解明の糸口にさせてもらいたいのに、それは真っ向否定されてしまった。

正直、困ってしまいました。

そしてまた電話が…

タツヤ観察期間は、その後、2日続きました。タツヤに異常はなく、筆箱は出てこず、母親不信感ありのままです。

そしてその翌日、タツヤ母親から電話が入りました。

今までと違って、声が小さく、「あの~」「ええと」がはさまり、歯切れが悪い感じです。

言いにくそうにしていましたが、意を決したように、言った内容は…。

筆箱が見つかった!

筆箱が見つかった。

弟の部屋の、ベッドの下にあった。

新しい筆箱が机に立てることができる便利な形で、弟もそれが欲しかったが、店頭にひとつしかなかった。

地味な色だったので、それを兄の物とし、弟の分は注文になった。

便利な形状なのでシャーペンを取り出しやすく、弟が自分の友達に自慢しようと自室に持ち込み、ベッド近辺に置いた。

その後、ベッド下に徐々に押し込まれ、すっかり忘れてしまって、兄が探している様子にも気づかなかった。

注文した筆箱を手に入れてそれを思い出し、兄の手元に返した。ということでした。

筆箱はタツヤのカバンから抜き取られたので、タツヤにしてみれば、学校で紛失したかもしれないと思ったわけです。

 

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上記内容は仮名であり、内容を一部改変しています。